2020年05月12日
理研、未踏の脳領域・睡眠への関与機能など解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所のシステム分子行動学研究チーム(吉原良浩氏)は12日、神経回路遺伝学的手法を用いて、機能未知であった脳領域「前障(ぜんしょう)」が、大脳皮質の「徐波」活動を制御することを発見したと発表した。

この研究成果は、意識レベルや睡眠の調節を担う神経メカニズムの理解につながると期待できる。

「前障」は、哺乳類の大脳皮質の深部に存在する薄いシート状の脳領域の部分をいう。ほとんど全ての大脳皮質領野と双方向に神経連絡していることから、その役割として多感覚の統合、注意の割り当て、意識の調節などの仮説が提唱されてきたが、その実体は未解明のままだった。

今回、研究チームは、前障の神経細胞を選択的に可視化あるいは活動操作できる、トランスジェニックマウス(遺伝子改変マウスの一種)を作製し、神経解剖学・電気生理学・光遺伝学(光によって活性が変化するタンパク質を用いて細胞の活動を操作する)技術を駆使して、前障の機能解明に取り組んだ。

その結果、前障が睡眠中や休息中の大脳皮質で見られる徐波活動の制御に関わっていることを初めて明らかにした。

本研究は、科学雑誌「Nature Neuroscience」オンライン版(日本時間5月12日付)に掲載される。


ニュースリリース参照
https://www.riken.jp/press/2020/20200512_1/index.html