2020年05月19日
東北大学、新発想の次世代有機蓄電池を開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東北大学

次世代蓄電池として、低環境負荷・安価・高容量が期待できる有機蓄電池に関心が集まっているが、東北大学の小林弘明助教(多元物質科学研究所)らは18日、カーボンブラックなどの導電助剤を全く用いない高容量な水系有機蓄電池システムを考案・実証したと発表した。

有機材料は導電性が低いため、大量の導電助剤を必要とし、実質的な容量は小さくなるという課題がある。

小林助教らは今回、2つの有機分子材料を混ぜることで導電性が現れる電荷移動現象と、充放電時の導電性有機ラジカル塩生成機構を組み合わせた「導電性リレー機構」を考案し、導電助剤フリーで繰り返し充放電が可能な有機蓄電池の開発に成功した。

材料の多用な組み合わせが可能であり、絶縁性のため利用できなかった多彩な有機材料を応用することで、有機蓄電池の更なる高性能化が期待できる。

同研究成果は、米国化学会の専門誌「ACS Applied Materials & Interfaces」オンライン版(5月15日付)で公開さた。


<用語の解説>
◆電荷移動現象とは : 二種類の分子(電子を与えるドナー、電子を受け取るアクセプター)間で電子の授受が起こる現象のこと。二種類の分子が一つの結晶を形成することで起こる電荷移動錯体と、二種類の粒子の接触表面で電荷移動が起こる表面電荷移動の二種類の電荷移動現象が報告されている。


ニュースリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/05/press20200518-01-Storage.html