2020年05月19日
岡山大・理研など、色素タンパク質の立体構造解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

岡山大学、筑波大学、理化学研究所、京都大学、兵庫県立大学、基礎生物学研究所、神戸大学の共同研究グループは18日、海産性珪藻の光化学系I-集光性色素タンパク質複合体の立体構造解析に成功したと発表した。クライオ電子顕微鏡を用いて解明した。この結果から、光合成生物が多様な光環境に適応するために、集光性色素タンパク質の数や結合様式を調整することを明らかにした。

本研究成果は、「光合成生物がなぜ多様な色を持ち、生育の場所を拡大してきたのか」という問いに対する知見を与えるものとなった。色の多様性は光合成生物の生存戦略の一環で、生育の場所を拡大できたのは、珪藻が褐色を呈することで、水中を透過する限られた光エネルギーを効率よく利用しているためとわかった。

また、珪藻の光化学系Iタンパク質に結合する集光性色素タンパク質が比較的深い海中に生息する紅藻や陸上に生息する緑色植物と大きく異なることもわかった。

この成果は、光合成生物の集光性色素タンパク質の多様性をひも解く知見となり、なぜ光合成生物は見た目の色が異なるのか、という進化的な知見を提供するものとなる。