2020年05月28日 |
徳島大、高精度のテラヘルツ・コム分光装置開発 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:科学技術振興機構 |
徳島大学 ポストLEDフォトニクス研究所の安井武史教授らの国際共同研究グループは27日、テラヘルツ・コムに基づいたガス分光で高精度性と汎用性を両立する技術の開発に成功したと発表した。テラヘルツ波は極性ガス分子の回転運動による吸収が現れる周波数領域に位置し、各種の揮発性有機化合物ガスがこの周波数領域で特徴的な吸収スペクトルを示すことから、揮発性有機化合物ガスの分光分析手段として期待される。 特に、極めて正確で精緻なスペクトルを持つテラヘルツ・コムを用いた分光法(デュアル・テラヘルツ・コム分光法)は、高い分光精度を備えているが、テラヘルツ・コムの発生および検出のためには周波数安定化制御された特殊なレーザーを2台利用する必要があり、光源部が複雑・高価格なために汎用性を損ねていた。 一方、デュアル光コムファイバーレーザーは、1台のレーザーで2つの光コムを発生させることが可能な上、周波数安定化制御が不要なため、光源部の簡素化・低価格化を可能にするが、レーザー非制御による周波数揺らぎのため、高い分光精度は得られなかった。 研究グループは今回、デュアル光コムファイバーレーザーとアダプティブ・サンプリング法を融合したデュアル・テラヘルツ・コム分光装置を開発した。同装置は、デュアル光コムファイバーレーザーの周波数揺らぎを検出し、この揺らぎに基づいてスペクトル波形の歪みを補正することで分光精度低下を防ぐ。これにより、高い分光精度と汎用性を兼ね備えたデュアル・テラヘルツ・コム分光法が可能となり、大気環境汚染のモニタリングに役立つと期待される。 本研究成果は、5月27日に国際光工学会の電子ジャーナル「Advanced Photonics」で公開された。 ニュースリリース https://www.jst.go.jp/pr/announce/20200527/index.html |