2020年06月02日
東北大・三菱ケミなど、窒化ガリウム量産法を開発
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学の秩父 重英教授(多元物質科学研究所)らは1日、三菱ケミカル、日本製鋼所の両社と協力し、反りがほとんど無い、大口径で高純度な窒化ガリウム(GaN)単結晶基板の量産が可能な、低圧酸性アモノサーマル法を開発したと発表した。

 反りが殆ど無く(曲率半径約1.5 km)モザイクも極めて少ない結晶性と、励起子による発光を呈する高純度な窒化ガリウム単結晶基板の作製が可能となる。

 持続可能な社会の実現には電力の変換効率向上が重要となるが、そのためには、電力制御を担う高周波パワートランジスタの半導体材料を、従来の珪素から窒化ガリウム(GaN)にどう置き換えるかがカギとなる。

 現状では、高性能GaNトランジスタの土台になる高品質なGaN単結晶基板の入手が非常に困難なため、リーク電流が少なく信頼性が高いGaNトランジスタの作製は困難となっていた。

 今後、 高品質な窒化ガリウム基板の供給により次世代パワーエレクトロニクス実現に貢献すると期待される。

同成果は、科学雑誌「Applied Physics Express」(4月17日)にオンライン公開された。

<用語の解説>
◆高周波パワートランジスタ : 携帯電話の基地局、レーダー、通信衛星等における大容量・高速通信を実現するための電力変換・増幅器。GaNは、他の材料では難しい高出力(kWクラス)かつ高周波数(1GHz ~ 100 GHz)の領域におけるデバイス応用が期待されている。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20200601_01web_GaN.pdf