2020年06月09日
理研・福島大など「農業生態系のデジタル化」に成功
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【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所、福島大学、東京大学、長浜バイオ大学などの共同研究グループは9日、農業生態系における植物ー微生物ー土壌の複雑なネットワークのデジタル化に成功したと発表した。
これまで熟練農家の経験によって伝承されてきた高度な作物生産技術が科学的に可視化できるようになった。

この研究成果は、化学肥料に頼らず有機態窒素を活用することで、持続可能な作物生産が可能であることを示しており、環境共存型の新しい農業に向けた持続的な作物生産の実現に貢献すると期待できる。

今回、共同研究グループは、農業現場での“マルチオミクス解析”により農業生態系のデジタル化を試みた。結果、農業生態系は作物が示す特定の形質(収量や品質など)と、特定の微生物種や土壌成分で構成されたモジュールが複数組み合わさってネットワークを形成していることが明らかになった。

また、有機農法の一つである太陽熱処理により植物根圏に特徴的な細菌叢が形成され、土壌中に蓄積する有機態窒素が作物の生育促進に関与していることを見いだした。

さらに、同定した土壌有機態窒素のうちアラニンとコリンが、窒素源および生理活性物質として作物生育を促進することが証明された。

同研究の詳細は、科学雑誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA(PNAS)」掲載に先立ち、オンライン版(日本時間6月9日)に掲載される。


ニュースリリース参照
https://www.riken.jp/press/2020/20200609_2/index.html