2020年06月15日 |
理研・東大「虚血性心疾患に遺伝要因が関与」 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
理化学研究所 生命医科学研究センター(循環器ゲノミックス)の伊藤薫チームリーダー、東京大学大学院 循環器内科学の小室一成教授らの共同研究グループは15日、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)の発症に関わる新たな疾患感受性座位を発見したと発表した。 同研究成果は、虚血性心疾患の発症に影響する生物学的な機序の解明や、遺伝要因の人種差の理解に貢献すると期待できる。 虚血性心疾患の有病率は人種によって異なり、日本人は欧米人に比べて低いことが知られている。これには環境要因だけでなく、遺伝要因も関与していると考えられる。 今回、共同研究グループは、約5万人の日本人集団の遺伝情報を用いたゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施し、その結果と約34万人の欧米人集団との人種横断的なメタ解析を行ったところ、虚血性心疾患の発症に関わる3領域の新たな疾患感受性座位を同定した。 さらに、発症に影響する臓器・組織を調べた結果、日本人集団では副腎、欧米人集団では動脈や脂肪組織の影響が大きいことが分かった。 本研究は、科学雑誌「Circulation: Genomic and Precision Medicine」(日本時間6月17日)の掲載に先立ち、オンライン版(5月29日付)に掲載された。 <用語の解説> ◆ゲノムワイド関連解析(GWAS) 病気や検査値などに影響がある遺伝子多型を、ゲノム全域に渡って網羅的に調べる統計的な手法。2002年に理化学研究所から世界に先駆けて報告した。Genome-Wide Association Studyの略。 |