2020年06月19日 |
広島大、「哺乳類細胞の突発的遺伝子発現動態」解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:広島大学 |
広島大学大学院 統合生命科学研究科の山本卓教授をはじめ理化学研究所などの研究グループは18日、マウス胚性幹細胞(マウスES細胞)における突発的遺伝子発現動態を網羅的に決定したと発表した。 細胞は、数万ある遺伝子の情報をRNAへと「転写」し、RNAからタンパク質が合成され、生命活動を維持している。この一連の流れを「遺伝子発現」と呼ぶが、多くの発現遺伝子は、一定の速度で転写されているわけではなく、速い速度で転写される状態と、ほとんど転写されない状態が確率的に切り替わっていることが知られていた。 研究グループは今回、マウスES細胞における突発的遺伝子発現の動態を網羅的に解明するために、1細胞レベルの遺伝子発現解析を行い、転写伸長因子などが突発的遺伝子発現動態を制御することを明らかにした。さらに、網羅的遺伝子破壊解析によって、Akt/MAPKシグナル伝達経路が転写伸長効率を調節することによって、突発的遺伝子発現動態を調節することを明らかにした。 これらの結果は、哺乳類細胞における突発的遺伝子発現と、細胞間遺伝子発現量多様性の根底にある分子機構を明らかにしたもので、今後、突発的遺伝子発現に由来する細胞間遺伝子発現量の多様性を制御する技術の確立、さらにiPS細胞の精密な分化誘導法確立や再生医療への応用につながると期待される。 広島大学ホームページ参照 https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/58420 |