2020年06月25日 |
理研など、日本人特有の白血病発症メカニズム解明へ |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
理化学研究所、東京大学、日本医療研究開発機構(AMED)、静岡県立大学などの共同研究グループは25日、血中で後天的なDNA変異を持つ白血球がクローン性に増殖することで、生まれながらのDNA配列と、変異した配列が混ざって見える現象(体細胞モザイク)を解析したと発表した。これにより加齢に伴うDNA変異と体細胞モザイク出現はほぼ不可避であること、また、体細胞モザイクが白血病をはじめとするがん化メカニズムに影響を与えることを明らかにした。体細胞モザイクが全死亡率の10%の上昇と関わることも分かった。 研究グループは今回、日本最大級のDNAデータベースであるバイオバンク・ジャパン(BBJ)の登録者約18万人のDNAマイクロアレイのデータを解析し、従来、生まれつきの変異の同定にのみ使われてきたデータの中から、後天的DNA変異の存在を表わす体細胞モザイクを検出した。 そして、体細胞モザイク出現に関連する遺伝的多型を同定し、その分子機構を明らかにした。血液悪性腫瘍では、がん化を反映する変化が発症前の段階から起きていることを見いだした。 さらに、日本人に多い白血病発症に関連する変異を同定し、イギリス人に多い白血病発症に関連する変異が日本人にはあまり見られないことも明らかにした。 今後、これらの知見に加えて、新たに全ゲノムシーケンス解析を行い、情報を集約させることで、日本人に特有の機構を含め、老化やがん化メカニズムのさらなる詳細な解明や、生命予後の予測を可能とする臨床医学の発展につながると期待できる。 同研究成果は、科学雑誌「Nature」の掲載に先立ち、オンライン版(日本時間6月25日)に掲載される。 |