2020年06月26日
世界初「水素社会」実現へ、実証試験スタート
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NEDOは25日、ブルネイと川崎を結ぶ一連の水素サプライチェーン構築のための実証試験が本格稼働したと発表した。ブルネイで水素とトルエンを結合させて生成したメチルシクロヘキサン(MCH)を、コンテナで海上輸送し、川崎市内の脱水素プラントで水素を分離した後、東亜石油京浜製油所の水江発電所ガスタービンに供給する。脱水素して分離したトルエンはブルネイへ逆輸送し、繰り返し水素輸送に使用する仕組みだ。

わが国の「水素社会構築」に向けた、世界初の国際的なプロジェクトで、次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(AHEAD)が2015年から計画着手してきた。

水素は、体積当たりのエネルギー密度が低く、輸送が課題と言われてきたが、MCHに変換することで、気体の水素と比べて体積が500分の1になり、常温・常圧で水素を運ぶことができる。取り扱いも容易で、既存のタンクコンテナでもも輸送や貯蔵が可能だ。

2019年11月、ブルネイにプロジェクトの起点となる水素化プラントが完成した。同プラントで製造されたMCHが12月に初めて日本に到着。今年4月には水素を取り出す川崎側の脱水素プラントが稼働開始し、5月にはMCHから取り出した水素を、川崎にある東亜石油京浜製油所内の水江発電所のガスタービンに供給開始した。
さらに6月には、川崎で分離したトルエンをブルネイへ輸送し、再度水素と結合させる処理を開始した。

これでブルネイでのMCH生成にはじまり、日本でのMCHから水素の分離、海上輸送、ブルネイでの再度のMCH生成という、一連のプロセスで構成される水素サプライチェーンが完成し、安定稼働に入った。

今後、水素サプライチェーンに関する運用技術の確立や国際取引のノウハウ蓄積を図り、本格的な水素社会の実現を目指す。