2020年07月03日
東大など、二酸化ケイ素と地球表層窒素の謎を解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東京大学

東京大学 大学院の鍵裕之教授(理学系)らの研究グループは2日、地球深部(深さ約750-800 km)の温度、圧力、酸素分圧を再現した高温高圧実験によって地球深部の鉱物を合成し、二次イオン質量分析法(NanoSIMS)による局所分析によって窒素の溶解度を測定した結果、スティショバイト(二酸化ケイ素)に400 ppmもの高濃度で窒素が溶け込むことがわかったと発表した。

スティショバイトは地球表層の堆積物や大陸地殻が沈み込む過程で生成し、下部マントルまで分解せずに到達することから、スティショバイトが地球表層の窒素を下部マントルまで運びうることが示された。

窒素は地球大気の約78%を占め、生命活動にも欠かすことのできない重要な元素。大気中の窒素濃度は地球の環境を支配する重要なパラメーターの一つでもある。しかし、地球全体で考えると窒素の濃度は他の揮発性物質と比べて著しく低く、その原因は謎のままだ。

地球が進化する過程で揮発性の高い窒素が宇宙空間に飛散したかもしれないし、地球深部に窒素の貯蔵庫が隠れている可能性もある。

今回、研究グループは、下部マントルに相当する温度、圧力、酸素分圧を再現した高温高圧実験を行い、回収した鉱物の窒素濃度を分析して、石英(SiO2)の高圧相であるスティショバイトにこれまでの報告をはるかに超える高濃度の窒素が取り込まれることを解明した。

同研究成果は7月2日付の「Scientific Reports」に掲載された。