2020年07月09日 |
東北大など、膵がん腹腔内投与併用療法で好結果 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学、名古屋大学、富山大学、関西医科大学などの共同研究グループは9日、腹膜転移を伴う膵がん(ステー ジ4)に対して、「ゲムシタビン・ナブパクリタキセル」療法に加え、パクリタキセルの腹腔内投与を併用するというオリジナルの治療法を考案し、国内で多施設共同臨床試験を実施したと発表した。 ステージ4の膵がんに対してはゲムシタビン・ナブパクリタキセル療法が標準治療となるが、生命予後が非常に厳しいため、患者に腹腔ポートを造設してパクリタキセルを直接腹腔内に投与する治療法をこれに加えた。 Phase 1としてこれらの抗がん剤の「用量規制毒性」を評価して推奨用量を設定した後、Phase 2として46名の患者が登録された。この臨床試験の主要評価項目は1年全生存割合であり、副次評価項目は抗腫瘍効果、症状緩和効果、安全性、全生存割合が評価された。 治療成功期間中央値は6.0カ月であり、治療奏功率は49%、病勢コントロール率は95%と非常に高い治療効果が得られた。がん性腹水は40%の患者で消失し、陽性であった腹水のがん細胞は39%で陰性になった。生存期間中央値は14.5カ月、1年全生存割合は61%だった。 従来、腹膜転移を伴う膵がん(ステージ4)は手術が困難だったが、同治療法によって腹膜転移が消失し最終的に膵がんの切除まで行えた患者は17%、切除できなかった患者と比較して明らかに生存成績は良好だった。 同研究成果は、7月8日付の国際科学雑誌「British Journal of Surgery」に掲載された。 <用語の解説> ◆ゲムシタビン・ナブパクリタキセル :切除不能膵がんに対する標準化学療法で、2剤を併用する点滴治療 ◆用量規制毒性 :新規抗がん剤を患者さんに投与する際に、これ以上の増量ができない理由となる毒性(有害事象)のこと |