2020年07月14日 |
東大チーム「トポロジカル電流に生じる整流効果」発見 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
理化学研究所 創発物性科学研究センターの十倉好紀グループディレクター(東京大学卓越教授)らの共同研究グループは14日、磁性トポロジカル絶縁体の量子異常ホール状態において、印加電流方向に依存して抵抗値が異なる整流効果を観測したと発表した。 同研究成果は、量子異常ホール状態の端に流れるトポロジカル電流に生じる新たな整流効果を実現したもので、今後、トポロジカル電流の散逸過程の理解が進むと期待できる。 今回、共同研究グループは、磁性トポロジカル絶縁体薄膜の量子異常ホール状態に着目した。量子異常ホール状態のトポロジカル電流は、試料の端に一方向にのみ電荷キャリアを運ぶという性質を持つ。この性質に由来し、印加電流の方向に依存して抵抗の大きさが異なることが明らかになった。 同研究は、科学雑誌「Nature Nanotechnology」オンライン版(日本時間7月14日)に掲載される。 ◆磁性トポロジカル絶縁体、トポロジカル絶縁体 トポロジカル絶縁体は、物質内部では電気を流さない絶縁体であるが、その表面のみ電気を流す表面状態を持つ特殊な物質である。さらに、磁性元素を添加することによって磁石としての性質も現れる。これを磁性トポロジカル絶縁体と呼ぶ。表面状態と磁石としての性質が作用する結果として、磁性トポロジカル絶縁体では量子異常ホール状態が生じる。 |