2020年07月14日
産総研、機能性化学品原料の連続合成法を開発
【カテゴリー】:行政/団体
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産業技術総合研究所は13日、触媒化学融合研究センターの甲村長利フロー化学チーム長らが機能性化学品の原料の一つである芳香族アミン類のフロー精密合成による連続合成技術を開発したと発表した。

現行芳香族アミン類の合成法は、高価で入手しにくい原料が必要なうえ、大量の副生成物を生じるなどの問題があった。今回開発した技術は、フロー法による精密有機合成を基に、触媒が充填されたカラム2個を連結して反応器とし、安価で入手しやすい原料から芳香族アミン類を高効率に合成する技術となっている。

また、生じる副生成物は容易に除去できる水や炭化水素のみであり、環境への負荷が非常に小さい特徴を有する。

今回開発した技術を実用化することで、CO2排出削減や廃棄物の大幅削減だけでなく、重要な機能性化学品生産の国内回帰につながると期待される。

詳細は、学術誌「Angewandte Chemie International Edition」7月9日版にHot Paperとして掲載された。


◆研究の経緯
機能性化学品の原料の一つである芳香族アミン類は、医薬中間体、農薬、電子材料などの原料として有用な化学品で、現在は、遷移金属触媒を用いたクロスカップリング反応が広く用いられているが、原料が高価な芳香族ハロゲン化合物であるうえ、副生成物の除去に手間がかかり、環境への負荷が大きかった。産総研は、機能性化学品の製造プロセス革新を産学官連携で推進する目的で、2015年からフロー精密合成(FlowST)コンソーシアムを運営し、フロー精密合成による機能性化学品の連続生産に係る基盤技術を開発してきた。今回その一環として、芳香族アミン類をターゲットに、安価で入手が容易な原料を使い環境負荷の低い新しい合成法を確立した。


ニュースリリース参照
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2020/pr20200713/pr20200713.html