2020年08月05日
東大、玄武岩から岩石内部の微生物可視化に成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東京大学

東京大学大学院の鈴木庸平准教授(理学系)の研究グループは5日、火星の地表を覆う溶岩と類似する海洋地殻上部の玄武岩コア試料を用いて、岩石内部の微生物細胞を可視化し、細胞密度の測定に成功したと発表した。

炭酸カルシウムの結晶粒に微生物を封じ込める処理が、微生物の不活化と高感度・高精度分析を両立させる新たな手段になることが明らかとなった。

この手法は、帰還試料に生命が現存するかだけでなく、過去の生命活動の痕跡検出にも応用できるため、火星の生命探査において活用が検討されている。しかし、この分析手法を適用するためには、帰還試料を隔離施設外に持ち出す必要があり、帰還試料を滅菌した後でも分析可能な技術を開発する必要があった。

そこで、炭酸カルシウムの結晶粒に微生物を封じ込めることで不活化し、封じ込めた微生物を上記の分析手法で細胞検出可能か研究を行った。

その結果、炭酸カルシウムを形成する手順で加える飽和した塩化カルシウムの溶液中で、細菌とウィルスが1分以内で不活化し、増殖能と感染能力が喪失することが明らかとなった。また、炭酸カルシウムの結晶粒に封じ込まれた細菌を可視化し、密度測定にも成功したため、生命検出と不活化を両立する技術となる。