2020年08月07日 |
日本触媒の3次元細胞培養容器 臨床試験開始 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:日本触媒 |
日本触媒は7日、同社の3次元細胞培養容器「ミコセル」を、医療法人再生会 そばじまクリニック(東大阪市、傍島聰院長)が行う脂肪幹細胞凝集塊による臨床研究用に提供すると発表した。 ミコセルとは、日本触媒が独自開発した3次元細胞培養容器で、生体内での状態に近い細胞凝集塊を多量に作製できる特徴をもつ。培養基材表面に細胞が適度に接着する非生物由来の材料で作られており、粒子径の揃った細胞凝集塊を多量に作製できる。従来の2次元培養細胞と異なり、体内の状態に近い細胞が得られることが知られており、近年、その作製技術が注目されてきた。 現在、主に市販されている細胞凝集塊形成を目的とした培養容器は、容器内部に細胞接着性の低い処理を施したものが一般的で、得られる細胞凝集塊は基材との相互作用をしない状態(浮遊状態)となっている。これに対して、同社のミコセルは、培養基材表面に細胞が適度に接着した細胞凝集塊が形成するため、他の培養容器で形成される浮遊の細胞凝集塊にはない更なる高機能化と、投与疾患部で有効に働く効果が期待されている。 また、ミコセルで作製した細胞凝集塊は、2次元で培養された細胞や他の3次元培養容器で作製した浮遊の細胞凝集塊と比較して高い機能および安全性を有することを非臨床で確認済み。 さらに、ミコセルは次の3つの特徴をもつ。(1)培養時の培地交換が容易で操作性に優れる(2)容器内部に設置した区画分けにより、均一な大きさの細胞凝集塊が多量に形成する(3)細胞凝集塊の形成後に、容器から剥離するための薬剤を用いることなく、凝集塊の剥離・回収ができる。 臨床研究対象の変形性膝関節症(OA)は、膝の軟骨がすり減るなどして膝が変形し、痛みや腫れをきたす疾患をいう。国内患者数は約1000万人、潜在患者数は約3300万人と多い。主な原因は加齢だが高齢化が進む中、患者数は年々増加が予想されている。 |