2020年09月08日 |
岡山大、草本植物の紋枯病に対する抵抗性 解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
理化学研究所 環境資源科学研究センターの持田恵一チームリーダーと岡山大学大学院 環境生命科学研究科の能年義輝准教授らの共同研究チームは8日、農作物の重要病害である紋枯病から植物が身を守る仕組みを明らかにしたと発表した。紋枯病に対する新たな防除策開発の分子基盤になると期待される。 紋枯病は、イネやトウモロコシなどの穀物に大きな被害をもたらす重要病害だが、植物が菌の感染に抵抗する機構はよく分かっていなかった。 今回、共同研究チームは、モデル植物であるミナトカモジグサで、紋枯病菌に対して抵抗性を示す系統と罹病性を示す系統を用い、それぞれに菌を感染させて遺伝子発現変動を経時的・網羅的に比較解析した。 その結果、抵抗性を示す系統は、菌に対する免疫応答を素早く活性化させていることが分かった。また、機械学習を用いた解析によって、この免疫応答の転写調節に関わる制御因子を探索し、転写因子の同定に成功した。 さらに、この遺伝子を発現させると、罹病性系統は紋枯病抵抗性を獲得することを確認した。 同研究は、科学雑誌「The Plant Journal」の掲載に先立ち、オンライン版(9月5日付)に掲載された。 <用語の解説> ◆ミナトカモジグサ :イネ科イチゴツナギ亜科に属する小型の植物。実験室で扱いやすく、ゲノム情報も整備されているため、モデル草本植物として利用される。学名はBrachypodium distachyon(ブラキポディウム・ディスタキオン)。 |