2020年09月09日
東医歯大、大腸幹細胞を維持する新たな仕組み発見」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東京医科歯科大学

東京医科歯科大学・難治疾患研究所の樗木俊聡(おおてき としあき)教授(生体防御学)らの研究グループは8日、理研生命医科学センターの大野博司チームリーダーらとの共同研究により、慢性的なインターフェロン刺激が大腸幹細胞の枯渇や機能低下の原因になることを発見したと発表した。

研究グループは、IFNシグナルを負に制御する転写因子IRF2マウスを用いてCoSCを解析した。その結果、コントロールマウスと比較して、CoSCの数が著しく減少していることなどを見出した。

大腸の再生能力を担う大腸幹細胞は、陰窩と呼ばれる場所に存在している。

大腸幹細胞は、大腸上皮の恒常性を維持し、障害を受けた大腸上皮を再生する。大腸幹細胞の機能不全は炎症性腸疾患の誘因になるが、機能不全の原因となるストレス因子は不明だった。

研究グループは、慢性的なインターフェロンの刺激で大腸幹細胞の数や働きが低下すること、転写因子IRF2 が同刺激を適切に制御することによって機能的大腸幹細胞を維持していることを発見した。

この研究成果は今後、機能的大腸幹細胞の維持、炎症性腸疾患の発症原因解明に新たなヒントを与えると期待される。


同研究成果は9月8日、国際科学誌「Scientific Reports」のオンライン速報版で発表された。


ニュースリリース参照
http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20200908-3.pdf