2020年09月23日
東大、小さなRNAが神経回路再生のスイッチ入れる
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東京大学

東京大学、国立遺伝学研究所などの共同研究グループは22日、タンパク質をコードしないマイクロRNAが、損傷した神経回路の再生を誘導することを発見したと発表した。

樹状突起の切断によってマイクロRNAの発現が誘導され、突起の再伸長を促す分子メカニズムを初めて解明した。
この発見により、損傷した脳神経回路の再生を促す手法として、神経細胞のマイクロRNAの発現制御を行うことで神経再生を誘導する新たな方法論が考えられる。

近年の研究から、損傷した脳神経回路を再生できる可能性が示されてきたが、神経再生を誘導する分子メカニズムついては未だ不明は点が多く残されていた。

研究グループは今回、マイクロRNAであるmiR-87が損傷した神経回路の再生スイッチとして働くことを発見した。さらに、miR-87が神経細胞の分化状態を維持するための転写抑制因子Tramtrack69の発現を制御することにより、神経突起伸長を促す遺伝子プログラムを再活性化することを明らかにした。

同研究成果は、将来的には、損傷した神経回路の再生を誘導する新たな方法論の確立につながる可能性が考えられる。


東京大学ホームページ
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2020/7034/