2020年10月02日
京大、急性骨髄性白血病の予後予測マーカーを発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

 京都大学 医学研究科の小川誠司教授らの研究グループは2日、急性骨髄性白血病の予後を予測する新規マーカーを発見したと発表した。

 急性骨髄性白血病(AML)は、白血病細胞にみられる染色体異常の種類等に応じてリスク分類され、リスクに応じた治療が行われている。しかし、低~中間リスクとされた患者でも再発・死亡が相当数みられることから、患者の予後をより正確に予測できるマーカーの同定が必要とされてきた。

 研究グループは今回、日本小児がん研究グループ(JCCG)のAML-05臨床試験に登録された小児AML患者の検体を用いて、次世代シークエンサーによる網羅的な遺伝子解析を行った。さらに、海外のAML患者データセットを統合して解析し、KRAS遺伝子変異を持つ症例は予後不良であることを明らかにした。
 
 KRAS遺伝子変異は、従来予後不良とされてきた染色体異常(MLL再構成)パターンを持つ症例で頻度が高く、高リスクの患者群・低~中間リスクの患者群のいずれにおいても予後不良と関連していた。

 MLL再構成AML患者においてKRAS遺伝子変異の有無を調べることで、より正確なリスク分類が可能になり、リスクに応じた適切な治療の選択につながる可能性が考えられる。

 同研究成果は、9月30日に、国際学術誌「Blood Advances」に掲載された。


ニュースリリース参照
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2020/200930_1.html