2020年10月05日
明大、ユーグレナの発酵生産にpHの重要性発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

明治大学農学部 農芸化学科の小山内崇准教授、ユーグレナ・理化学研究所などの研究グループはこのほど、ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の発酵生産法について、発酵時のpHやバッファー(緩衝液)を変えることで、生産される物質の量と種類が変化することを発見したと発表した。

ユーグレナは、光のある条件では光合成によりパラミロンという多糖を生産する。一方、光のない条件では、蓄積したパラミロンを分解し、多様な物質を作り出す。特に、光も酸素もない発酵条件では、細胞外にコハク酸などの有機酸や、グルタミン酸・グルタミンなどのアミノ酸を細胞外に放出する。

研究グループは今回、ユーグレナが作る発酵産物の中で、コハク酸、グルタミン酸、グルタミンに着目した。
ユーグレナの発酵に際し、培地のpHとバッファーの種類を検討した。
3つのバッファー条件でpHをpH3からpH8まで変化させ、発酵産物量と細胞の形態変化を調べた。

その結果、グルタミン酸やグルタミンの生産量は、酸性で多く、中性で少ない傾向を示した。一方、コハク酸の生産量は、pHよりもバッファーの種類に大きく影響される。特に酢酸をバッファーにすると、コハク酸の生産量が大幅に減少した。

細胞密度を10倍にして発酵させたところ、コハク酸の生産量は10倍近くの1.5 g/Lに増加したが、グルタミン酸生産量は1.5倍程度しか増えなかった。細胞密度もユーグレナの発酵に重要な因子であることが明らかになった。
今後、ユーグレナを用いた二酸化炭素からの物質生産が広がる可能性がある。

本研究成果は、2020年10月にオランダの科学誌「 Algal Research」のオンライン版に掲載された。


明治大学・ホームページ
https://www.riken.jp/press/2020/20201002_2/index.html