2020年10月06日
名大、血液適合性ポリマーの高靭性化に成功
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:名古屋大学

 名古屋大学大学院 工学研究科の竹岡 敬和 准教授らの研究グループは5日、ユニチカと共同で、血液適合性ポリマーとして知られるPoly(2-methoxyethyl acrylate) (PMEA)に直径約100nmのシリカ微粒子を高濃度で分散させると、力学的に高靭性化し、3Dプリンターを使用して様々な形状に加工できることを見出したと発表した。

 血液適合性ポリマーのPMEA は、ECMO(体外式膜型人工肺)をはじめとする血液と接触する医療器具に広く利用されている。PMEAは柔らかくて粘着質のため成形加工が難しく、従来は主にコーティング材料となっていた。
 
 竹岡准教授らは、この柔らかくて粘着質なPMEA中に硬いシリカ微粒子を高濃度で分散させることで、力学的に高靭性なPMEA-シリカ複合エラストマーを調整した。
 
 この複合エラストマーは、血液適合性評価のひとつである血小板粘着試験で、PMEAと遜色のない結果を示した。さらに、光造形式3D プリンターを使用することで、エラストマーを任意の形状に加工することに成功した。今後、人工血管など血液適合性が必要な医療器具の開発に有用な材料になると期待される。
 
 同研究成果は、10月1日付のアメリカ化学会誌「ACSApplied Materials and Interfaces」のオンライン版に掲載された。