2020年10月12日
富士フィルム、骨の再建向け骨補填材 欧州で試験
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:富士フイルム

富士フイルムは12日、骨の再建に有用な、歯科・口腔外科用骨補填材「FF-37101」の臨床試験を欧州で開始したと発表した。

現在、歯科インプラント治療では、抜歯後の窪み(抜歯窩)にインプラントの土台として必要な歯槽骨(歯を支える骨)を再建するために、患者由来の「自家骨」を採取し移植する方法が一般的だ。しかし、治療部位とは異なる部位から正常な骨を採取する必要があり、患者の負担が大きく、採取量にも限界がある。

骨補填材は、骨の欠損部位に埋植して骨形成を促す材料。骨補填材には、骨の欠損部位に新たな骨が形成されるようスペースを確保することと、そのスペースに骨再生を促すこととが求められる。だが、現在実用化されている
骨補填材では、両立は困難で、新たな骨補填材の開発が望まれていた。

富士フイルムは、長年の知見や遺伝子工学技術により、人工タンパク質「リコンビナントペプチド(RCP)」を開発した。「RCP」は、動物由来成分を含まず、高い安全性を確保し、細胞の表面に存在するインテグリンとの接着性にも優れている。このため「RCP」を骨補填材に応用した。

これまでにラットの頭蓋骨欠損モデルやイヌの抜歯モデルを用いて「FF-37101」の非臨床試験を実施してきた。これにより既存の骨補填材よりも優れた骨形成能、安全性を確認できたことから、欧州での臨床試験となった。
今回臨床試験では、抜歯窩へ埋植し、ヒトの骨形成における有効性や安全性を評価していく予定だ。

ニュースリリース参照

骨の再建に有用な骨補填材「FF-37101」の臨床試験を欧州で開始
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1602471223.pdf

Fujifilm Starts a Clinical Investigation in Europe on FF-37101, a Bone Grafting Material・・・
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1602471223.pdf