2020年10月12日
東北大、沈み込み帯における多成分流体 解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

沈み込んだプレートから放出される流体には二酸化炭素成分が少量含まれているため、その流体挙動への影響を評価する上で、鉱物への濡れ性の化学組成依存性を明らかにすることが課題だった。

東北大学大学院 理学研究科の中村美千彦教授(地学専攻)らの研究チームは12日、二酸化炭素と塩を含む水を主成分とした多成分超臨界流体の鉱物粒間への浸透性の研究を行い、沈み込み帯における多成分流体の輸送モデルを提案したと発表した。

これまで、流体中に二酸化炭素が含まれると、流体は鉱物表面を濡らしにくく、鉱物粒間を浸透して移動できないと考えられていたが、実験の結果、鉱物の炭酸塩化反応と塩分の影響で、流体が鉱物表面を濡らしやすくなることが明らかになった。

沈み込んだプレートから放出される水・二酸化炭素・塩の多成分からなる熱水は、マントルの鉱物粒間に浸み込んで移動しやすいことを高温高圧実験により実証した。

このような流体の性質の理解は、地震波や電磁気の観測に基づいた沈み込み帯の流体分布やマグマ発生原因の解明にも役立つと考えられる。

同研究の成果は、10月5日「Earth and Planetary Science Letters」誌電子版に掲載された。