2020年10月16日
昭電、LIBセパレータ用耐熱性バインダー本格展開
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:昭和電工

 昭和電工は16日、リチウムイオン電池(LIB)のセパレーターのセラミック耐熱層用バインダー用に最適化した、ポリ-N-ビニルアセトアミド(PNVA)「GE191 シリーズ」の需要伸長が見込まれるため、展開を本格化すると発表した。

 PNVAは、同社が世界で唯一工業化に成功した水溶性高分子で、200℃の高温処理でも劣化しない耐熱性や金属酸化物粒子をより均一に分散・安定させるなどの特長をもつ。
 
「GE191 シリーズ」は、セラミック耐熱層の要求特性に応えたグレードとして、耐熱層の高耐熱化と薄膜化に貢献する。塗工層の高耐熱化により、LIBの安全性・耐久性を向上させるバインダーとして評価され、車載用リチウムイオン電池にも採用されている。

 一般的なセパレーターは、ポリエチレンやポリプロピレンなどの薄膜で構成されており、LIB が異常発熱して高温になると、発火など重大な事故が発生する恐れがある。
 
 「GE191 シリーズ」を添加したセラミック耐熱層をセパレーターに塗工すると、異常発熱時でもセパレーターの形状が保持され、電極同士が接触、短絡する危険性を回避できる。

「GE191 シリーズ」は水との親和性が高く、増粘性(レオロジー特性)も高いため、セラミック粒子が均一に分散して低剪断時でも高粘性を確保し、剪断速度に応じて粘度が下がる性質(チキソ性)に優れている。

世界のLIB 市場は5GやCASEの進展により、今後も高い成長が見込まれる。同社は、LIB の高性能化に貢献する多くの製品をもち、最適なソリューション提供によりさらなる事業拡大を目指す。


ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1602817298.pdf