2020年10月20日
静岡大など、振動発電素子の微視的な仕組みを解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:名古屋大学

科学技術振興機構(JST)は19日、静岡大学の橋口 原教授(工学部)と、名古屋大学の白石 賢二教授(未来材料・システム研究所)らの研究グループが、振動発電素子において非晶質シリカが負に帯電する微視的な仕組みを世界で初めて解明したと発表した。JST戦略的創造研究推進事業(CREST)による成果。

充電不要の自立電源を実現する技術として、外界の振動だけで動作する振動発電素子が注目されている。

研究グループは以前、非晶質シリカを負に帯電させることで動作するカリウムイオンエレクトレットを開発した。新たな振動発電素子として期待されているが、負に帯電する微視的な仕組みは未解明だった。

研究グループは、非晶質シリカ内にカリウム原子を挿入すると、カリウム原子からケイ素原子に電子が供給され、ケイ素原子があたかもリン原子のように振る舞うことを、量子力学に基づく計算から発見した。そして、ケイ素原子は通常の4本ではなく5本の共有結合を酸素原子と形成してSiO5構造となり、この構造が負電荷を蓄積することを明らかにした。

本成果により、振動発電素子の信頼性向上や長寿命化への設計指針が得られる。充電なしで動作するセンサーなどが身近になる他、モノのインターネット(IoT)の実現にも貢献が期待される。
同成果は19日、第37回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム(オンライン開催)で発表された。


JST:ホームページ
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20201019/pdf/20201019.pdf