2020年10月26日 |
東北大と理研「合金粒子の融解過程をナノ観察」 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学(高橋幸生教授)と理化学研究所の共同研究チームは、微小加熱ヒーター機構付き試料メンブレンを用いた「加熱その場XX線タイコグラフィ」により、スズ-ビスマス(Sn-Bi)合金粒子の融解過程のナノスケール観察に成功したと発表した。 同研究成果は、X線タイコグラフィを用いた触媒系・電池系などさまざまな実用材料系の反応・作動時のその場イメージングに貢献すると期待できる。 X線タイコグラフィの高い空間分解能は、試料周辺の温度変化による熱ドリフトを抑制することで実現する。だが、高温条件下における試料観察の妨げにもなる。 今回、X線タイコグラフィの高空間分解能を維持しつつ、加熱条件下で試料を計測するため、試料加熱部分を最小限にした微小加熱ヒーター機構付き試料メンブレンを新たに作製した。 大型放射光施設「SPring-8 」で、Sn-Bi合金粒子をこのメンブレンに担持させ、室温から267 ℃まで加熱しながらX線タイコグラフィ計測を行い、データを位相回復計算により画像再構成した。加熱によってSn-Bi合金粒子内部の共晶組織の相界面が移動、消失し、最終的に粒子が融ける様子を25ナノメートルの分解能で観察できた。 同研究成果は、科学雑誌「Microscopy and Microanalysis」(8月28日付)に掲載された。 <用語の解説> ◆X線タイコグラフィとは : コヒーレントX線回折イメージング手法の一つ。X線照射領域が重なるように試料を二次元的に走査し、各走査点からのコヒーレント回折パターンを測定する。そして、回折パターンに位相回復計算を実行し、試料像を再構成する手法のこと。 東北大学:ホームページ https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_press20201023_02web_SnBi.pdf |