2020年10月28日 |
理研・鳥取大「かび毒」をつくるメカニズム解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
理化学研究所と鳥取大学工学部の永野真吾教授(化学バイオ系学科)らの共同研究チームは27日、かび毒として知られる「テヌアゾン酸」の生合成酵素である「TAS1」の「ケト合成酵素(KS)ドメイン」の立体構造を明らかにし、テヌアゾン酸生合成の鍵となる反応のメカニズムに関する重要な知見を得たと発表した。 同研究成果は、テヌアゾン酸の高効率な生産制御を可能にすると期待できる。また、テヌアゾン酸の構造を変えることによる、有用な新しい生理活性物質の創出につながる可能性がある。 かび毒は植物病原糸状菌などが生産する化学物質で、農産物汚染による健康被害や植物病害を引き起こすため、経済的損失が大きく問題となっている。 今回、共同研究チームは、イネいもち病菌が持つかび毒テヌアゾン酸の生合成酵素TAS1のKSドメインの立体構造をX線結晶構造解析によって明らかにし、立体構造に基づく酵素の機能解析により、生合成の際の環化反応メカニズムに関する重要な知見を得た。 TAS1のKSドメインは、通常のKSドメインと同様のアミノ酸残基がユニークな反応に関与していること、また、通常のKSドメインの場合よりも大きな基質を受け入れるために進化していることが示唆された。 同研究は、科学雑誌「Journal of Biological Chemistry」(8月14日号)に掲載された。 ◆かび毒 :マイコトキシンとも呼ばれ、糸状菌の二次代謝産物として生産される毒の総称。アフラトキシン、トリコテセンなどが知られ、農産物の汚染による健康被害や植物病害を引き起こすため経済的損失が大きい。 ニュースリリース参照 https://www.riken.jp/press/2020/20201027_3/index.html |