2020年10月30日 |
東大など、凍らせて高い強度もつ新ゲル材料 開発 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:東京大学 |
東京大学、原子力開発機構、都立産業技術研究センターの研究グループは30日、中性子線を利用した高分子構造の研究により、木材から得られるセルロースナノファイバーと、レモンに含まれるクエン酸と水で構成される、環境にやさしい高強度ゲル材料「凍結架橋セルロースナノファイバーゲル」の開発に成功したと発表した。 植物の細胞壁などに含まれるセルロースなどのバイオマス素材を活用した材料は、プラスチック由来の環境問題の解決策として注目を集めている。なかでも、バイオマス素材を原料とした生分解性ゲルは、環境浄化材や医療材料として幅広い展開が期待されている。 だが、一般的にバイオマス素材には、強度や成型性に弱点があり、用途範囲が限定されていた。 研究グループは、氷の凍結現象に伴う物質の構造変化を利用することにより、高い強度と成型性を有するセルロースナノファイバーゲルを生成することに成功した。 “セルロースナノファイバーを凍らせる”、“クエン酸溶液を混ぜる”、“溶かす”という、ごく簡単な工程で作製したゲルは、水素結合による強固な三次元ネットワーク構造を形成し、2トンの圧縮負荷にも耐える高い強度と、様々な三次元形状に成型できる高い成型性を示した。さらに、環境を浄化する吸着剤として有用である可能性が高いことも分かった。 この新しい生分解性ゲル材料は、これらの優れた特徴から、自然由来の環境にやさしいプラスチック代替材料や環境浄化材料、再生医療用材料など、機能性材料として応用が期待できる。 同成果は、国際学術誌「ACS Applied Polymer Materials」のオンライン公開版(10月30日(日本時間))に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2020/7084/ |