2020年11月09日
三洋化・名大「ナノ粒子の発芽促進技術」開発
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:三洋化成

 三洋化成工業は9日、岡山県 農林水産総合センター 植物活性化研究グループ(生物科学研究所)と、名古屋大学大学院 植物免疫学研究室(生命農学研究科)との共同研究による「ナノ粒子を用いた農薬送達システムによる革新的植物免疫プライミング(発芽促進)技術の開発」が、生物系特定産業技術研究支援センターのイノベーション創出強化研究推進事業(基礎研究ステージ)に採択されたと発表した。

 次世代農薬として、病害虫抵抗性誘導剤(プラントアクティベーター)と呼ばれる、植物が生来もつ免疫力を高めて病害虫を防除する画期的な農薬が注目を集めている。だがこの農薬は、生育不良などの薬害も併発しやすく、一部の作物でしか実用化されていない。

 一方、新たに見出された「植物免疫プライミング技術」は、病害虫から攻撃を受けた時だけ抵抗性反応を起こす免疫機能を付与した技術。植物の生育に悪影響を与えない植物の免疫システムとして期待される。

 同研究プログラムでは、病害虫抵抗性誘導剤を内包させた「生分解性ナノ粒子」を植物細胞に取り込ませ、徐々に病害虫抵抗性誘導剤を放出する、新しい農薬送達システムを構築。今後、薬害の低減と高い防除効果を両立させた革新的な植物免疫プライミング技術の開発を目指す。

 三洋化成が開発した葉面散布向けのナノ粒子は、生分解性材料に界面活性剤を組み合わせたもので、農薬を内包することができる。生分解性材料の分解とともに内包した農薬を放出でき、界面活性剤の組成設計により、その放出挙動を制御できる画期的な粒子。

 先に岡山県生物科学研究所で実施したシロイヌナズナを用いた予備検討では、この誘導剤を内包させた生分解性ナノ粒子を葉面散布することで病害虫抵抗誘導剤を徐々に放出できることが確認された。
 
 
 ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1604901311.pdf