2020年11月10日
東北大、史上最大の生物の大量絶滅の原因を特定
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

地球史上最大の絶滅事象とされるペルム紀末の大量絶滅の原因はこれまで確定していなかったが、東北大学大学院理学研究科地学専攻の海保邦夫教授(現名誉教授)らの研究グループは10日、新しく開発した指標により、同大量絶滅とその前に起きた陸上生態系崩壊の原因は大規模火山噴火であると発表した。

陸の生態系の方が、海の生態系よりも、小規模の地球環境変化で崩壊しやすい。水銀の濃集を証拠に大規模火山噴火説が主張されてきたが、水銀は生態系崩壊によっても供給されるため、不完全な証拠と言われている。

海保名誉教授らは今回、中国とイタリアのペルム紀末の地層を化学分析し、通常の森林火災より高温の火山活動等で生成される燃焼有機分子コロネンの濃集と、水銀濃集と、絶滅が同時に起きたことを世界で初めて発見し、ペルム紀末の大量絶滅の原因は大規模火山噴火であると結論づけた。

地下の堆積岩中の炭化水素がマグマの熱で燃焼し、CO2などの温室効果ガスを発生しその圧力で噴火を起こし、大気中の温室効果ガス濃度が上昇し、地球温暖化が進行して大量絶滅に至ったことを証拠立てた。

同研究の成果は、米国地質学会発行の「Geology」2021年3月号掲載に先立ち、11月4日付電子版に掲載された。

<用語の解説>
◆ペルム紀とは :地質時代の年代区分の一つで、古生代の最後の紀。二畳紀ともいう。模式地はウラル山脈の西麓ペルム付近。約 2億9890万年前から約 2億5217万年前までの期間にあたる。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20201109_01web_permian.pdf