2020年11月13日 |
京大など、AI創薬の新たなアルゴリズム 開発 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:京都大学 |
難治性疾患に対する新たな治療薬の開発が期待されているが、数百万個の化合物スクリーニングを実施するには多くの時間と費用がかかる。 京都大学CiRA増殖分化機構(T-CiRAプロジェクト)、武田薬品工業、理化学研究所、東京大学などのiPS細胞研究グループは12日、化合物スクリーニングにおけるヒット化合物を予測する機械学習のアルゴリズムである熱拡散方程式(HDE)モデルを開発し、今回の研究に応用したと発表した。 HDEモデルは、熱が拡散していく様子を計算式に表して化合物の有効性の高さをスコア化することでヒット化合物を予測する人工知能のひとつで、偏微分方程式論という数学解析からの知見に基づく。 一般公開されている化合物スクリーニングのデータを用いて、HDEが高い予測精度を示すことを明らかにした。 さらに、ALS患者から作製したiPS細胞を用いて運動神経の細胞死を抑制する化合物を探索するため5万個の化合物スクリーニングを実施し、その結果から、HDEモデルを用いて約200万個の化合物の有効性を予測した。 また、HDEで有効性が高いと予測抽出された化合物について、30株のALS患者のiPS細胞から運動神経細胞を作製し、このALS iPSパネルを用いて効果を評価した。その結果、多くのALS患者の細胞に強い効果を示す化合物の同定に成功した。HDEモデルは、次世代のAI創薬ツールとして期待される。 ▽京都大学iPS細胞研究所ホームページ https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/201112-010000.html |