2020年11月20日 |
理研など、膵がんの「原因遺伝子・発症リスク」解明 |
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理化学研究所 生命医科学研究センターの桃沢幸秀チームリーダーをはじめ、東京大学、国立がん研究センターなどの国際共同研究グループは19日、世界最大規模となる2万人以上のDNAを解析して、日本人の遺伝性膵がんの原因遺伝子・発症リスク・臨床的特徴を明らかにしたと発表した。 同研究成果は、日本人の膵がん患者一人ひとりに合った治療を行う「ゲノム医療」に貢献すると期待できる。 膵がんは、その発生率や死亡率が世界的に増加しており、5年生存率が極めて低い。乳がんや前立腺がんと同様、膵がん患者の数%は一つの病的バリアント(疾患の発症に繋がる1カ所のゲノム配列の違い)が発症の原因になると考えられている。 しかし、1,000症例以上の膵がん患者において病的バリアントを解析した研究は海外を含めても2例しかなく、ゲノム情報を用いた医療の妨げになっていた。 今回、研究グループは、11個の膵がん関連遺伝子を含む計27個の遺伝性腫瘍関連遺伝子について、バイオバンク・ジャパンで収集した膵がん患者1,009人を対象に、独自に開発したゲノム解析手法を用いて解析した。 また、大腸がんのゲノム解析で作成した対照群23,780人のデータも併せて解析に使用した。その結果、205個の病的バリアントを同定し、BRCA1、BRCA2、ATMの3遺伝子が発症に関わっていることや、病的バリアント保有者に見られる臨床的特徴などを明らかにした。 さらに、機械学習による病的バリアント保有者予測を試み、乳がんに比べて膵がんは予測が困難であることを示した。今回同定されたバリアントデータは、今後国内外の公的データベースに登録、活用される予定。 同研究は、オンライン科学雑誌「EbioMedicine」(日本時間9月25日)に掲載された。 <用語の解説> ◆遺伝子バリアント、病的バリアントとは :ヒトのDNA配列は30億の塩基対からなるが、その配列の個人間の違いを遺伝子バリアントという。そのうち、疾患発症の原因となるものを病的バリアントと呼ぶ。 |