2020年11月25日
理研、ロボットによる微生物の大規模進化実験 成功
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理化学研究所(生命機能科学研究センター)と東京大学(大学院 理学系研究科)の共同研究チームは24日、独自に開発した進化実験ロボットを用いて、大腸菌の進化実験データを解析し、その薬剤耐性進化を支配する拘束条件を明らかにしたと発表した。

同研究成果は、抗生物質への耐性獲得を抑制する手法や新しい抗生物質の開発への貢献、微生物進化の予測と制御による工学・農学分野への応用が期待できるとしている。

今回、研究チームは、独自開発の進化実験ロボットを用いて、微生物を長期に培養し薬剤耐性進化の過程をハイスループットに解析できる仕組みを構築した。

それを用いて、微生物の一種である大腸菌をさまざまな薬剤を添加した環境で進化させ、その遺伝子発現量やゲノム配列変化などのデータから機械学習により、薬剤耐性進化を特徴づける状態量の抽出に成功した。

その解析から、さまざまに異なる薬剤に対する進化が少数の状態量で説明できることが示され、薬剤耐性進化に対する拘束条件が明らかになった。

同研究は、オンライン科学雑誌「Nature Communications」(11月24日付)に掲載される。


<用語の解説>

◆状態量
その生物の状態を表す量のこと。ここでは、遺伝子発現量や薬剤耐性能といった さまざまな定量データと、それらのデータから機械学習の手法によって計算される特徴量を指す。

◆多剤耐性菌
異なる作用を持つ複数の抗生物質に耐性を持つ微生物のこと。抗生物質による治療が難しい場合があるため、その出現が医学上の大きな問題となっている。


ニュースリリース参照
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20201124-2/pdf/20201124-2.pdf