2020年11月26日 |
岡山大、オオムギ遺伝資源のゲノム多様性を解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
岡山大学 資源植物科学研究所の佐藤 和広教授と理化学研究所の共同研究グループは25日、最新の塩基解読法および整列技術によって20品種のオオムギにおける染色体単位のゲノム配列解析に成功したと発表した。 2万種類以上のオオムギから、遺伝子鑑定で選んだ20品種を、最新の塩基解読法および整列技術で個別に解読し、世界中のオオムギに含まれるDNA配列の大要を明らかにしたと発表した。 オオムギは7対の染色体を持ち、そのゲノム配列は約50億塩基対と巨大で、ヒトの1.7倍、イネの13倍もある。 オオムギでは、これまで単一の品種の精密な塩基配列を基に、別な品種の配列を重ねることで、遺伝子同定や遺伝子鑑定技術の開発をしてきた。しかし、この方法では、目的とする品種の遺伝子配列が元の品種になければ、解析することは困難だった。 研究グループは今回、20種類の野生および栽培オオムギを個別に高精度解読して、オオムギのDNA配列の大要を得る「パンゲノム(Pan Genome)」解析を行った。 その結果、品種間で遺伝子領域配列の63パーセントが共通で、残りの37パーセントは異なることが分かった。 また、この解析から、過去の育種の過程で起きたゲノム構造の逆位を確認した。 今回の高精度解読によって、今後は有用形質に関わる遺伝子の解析や育種への応用が可能となる。 また研究の進展によって、オオムギのデジタル育種が可能となり、目的とする品種をデザインする技術の開発が期待できる。 同研究成果は、2020年11月26日(日本時間)に国際科学誌「Nature」オンライン版に掲載される。 |