2020年12月03日
理研など、Tリンパ球の救命装置を発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所と沖縄科学技術大学院大学らの国際共同研究グループは2日、メッセンジャーRNA(mRNA)の分解を制御するタンパク質複合体が、異常な細胞死を防ぐことでTリンパ球の正常な発生を促すことを発見したと発表した。

本研究成果は、免疫応答に重要なTリンパ球の発生機構の解明に貢献すると期待できる。

リンパ組織の胸腺では、正常な免疫応答が可能なTリンパ球だけが発生するが、その機構の全貌は明らかになっていない。Tリンパ球の発生段階で、多くのmRNAが発現上昇するが、その中には、Tリンパ球の細胞死を誘導する遺伝子のmRNAも含まれる。

今回、国際共同研究グループは、Tリンパ球の発生段階で、タンパク質複合体「CCR4-NOT」が正常なTリンパ球の細胞死を防ぐことを発見した。

CCR4-NOT複合体は、mRNAの末端に存在するアデニル酸のポリマー鎖を短縮(脱アデニル化)することで、細胞死を誘導する遺伝子のmRNAを分解する。その結果、細胞死が防止され、免疫応答可能なTリンパ球が生存できることが明らかになった。

同研究は、オンライン科学雑誌「Nature Communications」(12月2日付)に掲載される。


◆胸腺 :Tリンパ球を産生するリンパ組織。


ニュースリリース参照
https://www.riken.jp/press/2020/20201202_3/index.html