2020年12月14日 |
広大・理研「脂質がタンパク質の選別輸送を制御」 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:広島大学 |
理化学研究所 光量子工学研究センターの中野明彦チームリーダー、広島大学 統合生命科学研究科の船戸耕一准教授らの国際共同研究グループは12日、小胞体膜の脂質セラミドの長さにより、GPIアンカー型タンパク質「Gas1」の「ER exit sites(ERES)への選別が制御されることを発見したと発表した。 同研究成果は、タンパク質輸送の異常やその破綻により発症する疾患のメカニズム研究の発展につながると期待できる。 小胞体で新たに作られたさまざまなタンパク質(積荷タンパク質)は、小胞体に多数存在するERESからゴルジ体へ輸送される。しかし、多様な積荷タンパク質がどのようにERESへと選別されるのかの詳細は不明だった。 今回、研究グループは3次元ライブイメージングにより、新たに合成された極長鎖セラミドが付加されるGas1と膜貫通ドメインを持つタンパク質「Mid2」の輸送を解析した。 その結果、Mid2は小胞体全体に局在する一方、Gas1は小胞体のいくつかのERES近くのゾーンに集積し、両タンパク質はそれぞれ異なるERESに選別されることを明らかにした。さらに、小胞体膜のセラミドの脂肪酸長を短くした細胞では、Gas1が小胞体全体に局在し、Mid2と同じERESへ選別されたことから、脂質の長さがタンパク質の選別輸送を担っていることを証明した。 同研究は、科学雑誌「Science Advances」オンライン版(日本時間12月12日)に掲載される <用語の解説> ■GPIアンカー型タンパク質とは: カルボキシル末端にアミド結合したグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)によって、細胞膜外葉に局在する一群のタンパク質。真核生物に広く存在し、酵素や受容体、接着因子など多様な働きをしている。 |