2020年12月15日 |
JST、窒化ガリウムでMEMS振動子を開発 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:科学技術振興機構 |
科学技術振興機構(JST)は14日、同機構の戦略的創造研究推進事業で、物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点のサン・リウエン 独立研究者(JST さきがけ研究者)が、窒化ガリウム(GaN)の熱によるひずみを制御することで、高温でも安定に動作するMEMS振動子を開発したと発表した。 第5世代移動通信システム(5G)に求められる高精度な同期を実現する高性能な周波数基準発振器として、微小電気機械システム(MEMS)発振器が期待されている。 高速大容量の第5世代移動通信システム(5G)には、高精度な同期が求められ、そのためには一定周期の信号を発生させる「タイミングデバイス」として優れた時間安定性と時間分解能を両立させた、高性能な周波数基準発振器が必要となる。従来の水晶発振器は集積性が悪く応用は限定的だった。微小電気機械システム(MEMS)発振器は高性能で集積性に優れているが、シリコン(Si)系MEMS振動子は高温で品質が悪化するという問題があった。 今回の研究では、優れた特性を持つGaN結晶を、引っ張りひずみを制御しながらSi基板上に成長させることに成功した。さらに、このGaN結晶膜で作製したMEMS振動子は、温度が600ケルビンまで上昇しても自ら温度上昇に対応して安定に動作することを実した。 熱によって内部に生じるたわみによって性能が維持されたと考えられる。今後、GaN系MEMS振動子の5G向けタイミングデバイスへの応用が期待される。 同成果は12月12日~18日の国際学会「IEEE International Electron Devices Meeting(IEDM2020)」で発表(オンライン会議)される。 ニュースリリース参照 https://www.jst.go.jp/pr/info/info1474/pdf/info1474.pdf |