2020年12月23日
東北大など、統合失調症とドパミン受容体 構造解明
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東北大学

京都大学大学院 医学研究科の岩田想教授、東北大学大学院 薬学研究科の井上飛鳥准教授、高輝度光科学研究センターの登野健介グループリーダーらの共同研究チームは23日、ドパミンD2受容体の立体構造を、X線自由電子レーザー(XFEL)1)を用いて解明したと発表した。

ドパミンD2受容体は、ドパミンによって活性化され情報伝達を行う。ドパミンは、運動調節や意欲・学習などに関わる脳内の神経伝達物質で、脳内のドパミン量が不足するとパーキンソン病に罹患し、過剰になると統合失調症になると考えられている。

統合失調症の治療薬はドパミンD2受容体に結合して不活性化する。これらの薬には、近縁の受容体にも作用することで生じる体重増加、眠気、口の渇きなどの副作用が知られている。

同研究により、ドパミンD2受容体に薬が結合する部分(ポケット)は、大きく異なる二つの形をとりうることが分かった。また、ポケットの近くにドパミンD2受容体に特有の空洞が存在することも解明された。

今後は、本研究で解明されたドパミンD2受容体の構造情報をもとに、より有効性が高く副作用の少ない治療薬の迅速な開発が可能になると期待される。

同成果は、12月22日に国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載された。