2021年01月08日 |
東大など「原子層の積み木細工でトポロジカル設計」 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東京大学 |
東京大学 物性研究所の近藤 猛 准教授、東京工業大学 科学技術創成研究院の笹川 崇男 准教授らの研究グループは、大阪大学、産業技術総合研究所、理化学研究所などと共同で、擬一次元積層物質における高次トポロジカル絶縁体の実現を、ビスマス臭化物(Bi4Br4)を用いた実験で明らかにしたと発表した。 高次トポロジカル絶縁体は、近年その存在が理論的に予想された新しい量子相。これまで三次元結晶での実現は確認されておらず、実験によるその検証が待たれていた。 今回、共同研究グループは、その実現に向け、トポロジカル原子層を自在に組み換えられる擬一次元ビスマスハライドBi4X4(X:ヨウ素(I)または臭素(Br))に着目し、その積層の取り方によってさまざまなトポロジカル量子相を実現できる物質設計指針を提案した。 その中でも特徴的な積み木構造を有するBi4Br4に対して、角度分解光電子分光法を用いた電子状態の直接観測を行った結果、この物質が世界初となる高次トポロジカル絶縁体であることを実証した。高次トポロジカル絶縁体では、結晶の特定の稜線(ヒンジ)に沿って、無散逸となる理想的な一次元スピン流が安定して流れるため、本研究によって、高次トポロジカル絶縁体を利用した省電力スピン流デバイスや量子計算デバイスへの応用の道が拓かれた。 同研究成果は、2021年1月4日に英国科学誌「Nature Materials」にオンライン掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.jst.go.jp/pr/announce/20210105/pdf/20210105.pdf |