2021年01月21日 |
京大、新たな遺伝性再生不良性貧血症 発見 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:京都大学 |
京都大学 大学院の高田穣 生命科学研究科教授らの研究グループは、いままで見逃されていた新たな遺伝性再生不良性貧血症である「ADH5/ALDH2欠損症」を発見した。2020年11月、国際学術誌に発表した。 さらに今回、患者の細胞等を用いて、iPS細胞をはじめとしたこの疾患のモデル細胞を作成し、病態を解析し、治療薬の候補となるALDH2活性化剤の効果を確認した。 ALDH2は、飲酒時にアルコールでできるアセトアルデヒドを分解する酵素であり、その遺伝子は変異によって酒が飲めない体質となることで知られる。ALDH2の変異自体は日本人の約50%が持っている。 ADH5/ALDH2欠損症の患者は、ALDH2に加えてホルムアルデヒド(=ホルマリン)分解酵素のADH5が変異して、体内のホルマリン分解ができなくなり、そのために再生不良性貧血になる。 今回の研究によって、ALDH2も実はホルマリンを分解する重要なバックアップ分子であることが確認された。 作成した患者モデル細胞を人為的に造血細胞に変化させると、DNA損傷を蓄積して増殖を停止することから、ホルムアルデヒドが作られるのは造血分化プロセス自体であることが判明した。 また、ALDH2活性化剤を添加すると、モデル細胞がより効率よく血球系へ増殖分化することがわかり、今後の治療薬開発に道筋をつけることができた。 同研究成果は、2021年1月12日に、国際学術誌「Blood」のオンライン版に掲載された。 |