2021年01月26日
東北大、水に強い有機半導体の結晶格子を制御
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 有機材料は、多様な分子間相互作用によって結晶格子が支配される点に特徴をもつが、東北大学多元物質科学研究所の芥川智行教授らは25位、京都大学との共同研究により、n型有機半導体特性を示すアニオン性のナフタレンジイミド誘導体を用いて、アルカリ金属イオンであるLi, Na, K, Rb, Csを組み合わせ、n型有機半導体材料の結晶格子の硬さ・柔らかさを化学的に自在制御することに成功したと発表した。

 化学的な自在制御により、水に対する優れた耐性を示すn型有機半導体材料の作製に成功した。

 従来、水に対して不安定とされているn型有機半導体が、結晶格子の硬さ・柔らかさを反映した優れた電子輸送特性を示すことを見出した。

 本材料は、アルカリ金属イオンのサイズにより、結晶格子の熱運動状態が変化し、水の存在下で高い電子移動度と可逆的な水の出し入れが可能な有機材料で、このような結晶格子の硬さ・柔らかさの制御は、有機エレクトロニクスの性能制御のための新たな可能性を提案する研究結果といえる。

 同研究成果は昨年12月30日、学術誌「Journal of the American Chemical Society」にオンライン掲載された。また掲載誌のSupplementary Cover Artに選ばれた。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_press20210125_06web_water.pdf