2021年02月10日 |
立命館大、カーボンナノチューブの毒性機構 解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
立命館大学 薬学部の中山勝文教授、東北大学大学院 情報科学研究科の木下賢吾教授らの共同研究グループは10日、カーボンナノチューブ(CNTs)を認識する免疫受容体を発見したと発表した。 CNTsはエレクトロニクスやバイオなど幅広い分野で用途が期待される次世代ナノ材料だが、アスベストと同様に生体内に入るとマクロファージに取り込まれ、毒性を示すことが動物実験で報告されている。 しかし、炭素のみで構成されるCNTsがなぜマクロファージに取り込まれるのか、その毒性発現機構は長い間不明だった。 今回研究グループは、マクロファージがTim4という免疫受容体を介してCNTsを捕獲して細胞内に取り込み、このマクロファージ炎症応答が引き金となって中皮腫様の病態が起きることをマウス実験で明らかにした。 世界で初めてCNTsを認識する免疫受容体を発見し、マクロファージがその受容体を介してCNTsを取り込むことによって起きる炎症応答がCNTs毒性発現の発端となることをマウス実験で明らかにした。 今後、CNTsにより引き起こされうる肺疾患においてTim4経路を阻害する治療法の開発や、Tim4に結合しない毒性の低いCNTsの開発につながることが期待される。 同研究は、JST戦略的創造研究推進事業さきがけ「マクロファージによる粒子状物質パターン認識機構の解明」の一環。2月9日発行の米国科学誌「Cell Reports」のオンライン版で公開された。 <用語の解説> ◆マクロファージ : 免疫細胞の一つで、体内に侵入した微生物や体内で発生したアポトーシス細胞などの病原体を捕食するなどして生体防御に重要な役割を担う。その一方で、過剰な炎症を引き起こし、病気の発症に関わることもある。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2021/02/press20210210-01-carbon.html |