2021年02月10日
北陸先端大、細胞凍結保護効果の機序解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
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北陸先端科学技術大学院大学(石川県)の 松村和明教授(物質化学)の研究グループは10日、高分子化合物による細胞の凍結過程における保護作用機序を明らかにしたと発表した。

医学生物学研究に必要な細胞は、細胞バンクなどから凍結状態で入手できる。
細胞の凍結保存技術自体は1950年代に確立されており、おもにジメチルスルホキシド(DMSO)が保護物質として細胞懸濁液に添加され、液体窒素温度にて凍結保存されている。


今回の研究成果は、細胞への毒性や分化への影響が低い凍結保護高分子の設計指針を明らかとすることで、再生医療分野で必要とされる幹細胞や再生組織などの効率的な凍結保存技術の開発に貢献すると期待できる。

細胞凍結保護効果を説明するため初めて固体NMRの手法を応用し、細胞の脱水制御に伴う細胞内氷晶抑制効果を説明した。

この手法を利用することで、新しい効果的な凍結保護物質の分子設計が可能となり、再生医療分野などへの応用が期待できる。


<用語の解説>
◆ジメチルスルホキシド(DMSO)とは: 分子式C2H6SOの有機溶媒の一種。実験室レベルから工業的規模に至るまで広く溶媒として使用されるほか、10%程度の溶液は細胞の凍結保存として使用されている。


北陸先端科学技術大学院大学ホームページ :
https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2021/02/09-1.html