2021年02月16日 |
京大「人食いバクテリア」免疫回避機構を発見 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:京都大学 |
京都大学の中川一路 医学研究科教授らの研究グループは15日、人食いバクテリアとして知られるA群レンサ球菌が、宿主免疫応答を制御する新たなメカニズムを明らかにしたと発表した。 A群レンサ球菌は一般に咽頭炎などでよくみられる細菌だが、劇症化すると、致死率約30%と高い。近年各国で流行しているA群レンサ球菌株の解析から、病原性に重要と思われる毒素(SLOとNga)は見つかっていたが、どのようなメカニズムで感染するのかは不明だった。 今回の研究で、ヒトの細胞内に侵入したA群レンサ球菌は、SLOとNgaを分泌し、宿主の細胞内小器官であるゴルジ体を断片化させることで、免疫系の活性化に重要なケモカインの分泌を抑制したり、上皮バリアを弱体化させることで免疫を低下させるなどして、感染拡大につなげていることが明らかとなった。 この成果は、新たな細菌感染症治療法の開発ための重要な一歩となる。 同研究成果は、2021年2月9日に、国際学術誌「mBio」に掲載された。 |