2021年02月18日

東北大、神経-グリアの超回路相互作用を解明

【カテゴリー】：ファインケミカル 【関連企業・団体】：東北大学

脳内には、神経回路とグリア回路のデュアルレイヤー（片面に2つの記録層を持つディスク）の情報処理回路が存在し、両者は緩やかに相互作用をする超回路を形成する。 東北大学大学院の松井広教授（生命科学研究科）らのグループは17日、グリア細胞には、まわりの神経細胞から放出されるグルタミン酸に応答し、興奮性の神経信号を増幅する機能があることを明らかにしたと発表した。 グリア細胞は神経細胞から放出されたグルタミン酸を取り込む際に、細胞内に流入するイオンによって酸性化し、この酸性化によって、グリア細胞から逆にグルタミン酸が放出され、学習や記憶が成り立つ上で重要な代謝型グルタミン酸受容体を効率的に活性化することが分かった。 グリア由来グルタミン酸放出は、グリア細胞内のpHに依存するため、グリアの状態次第で、学習が成立するかどうかが左右される可能性が示された。 人は、全く同じ経験をしても、記憶される時とされない時とがあるが、グリア細胞の機能を操作することで効果的な学習が成立する可能性がある。認知症などの治療にも役立つと期待される。 同成果は、2月2日付の「Journal of Physiology」誌にAccepted Articlesとして掲載された。 ＜用語の解説＞ ◆グリア細胞 ： 脳内の細胞は、神経細胞とグリア細胞に分類される。神経細胞は活動電位で情報を表現し、神経細胞同士をシナプス結合でつなぐネットワークで脳内情報処理が進むと考えられている。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2021/02/press20210217-01-glial.html