2021年03月04日 |
理研、精神疾患に関与する遺伝子タンパク質発見 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
理化学研究所、鹿児島大学、東京慈恵会医科大学、東京大学の共同研究グループは、代表的な精神疾患である統合失調症の病因に転写調節因子のLDB2タンパク質が関与する仕組みを明らかにしたと発表した。 同研究成果は、精神疾患の発症メカニズムの理解に向けた取り組みに貢献すると期待できる。 共同研究グループは、均衡型染色体転座を持つまれな統合失調症症例において、LDB2遺伝子が染色体切断点の近くに存在することを報告している。 今回の研究で、(1)Ldb2を破壊したマウスが精神疾患に類似する行動異常を示すこと(2)LDB2タンパク質が、脳において神経活動の調節に関わること(3)転写因子のEGRタンパク質と協調して遺伝子の発現を調節する可能性があること、などを見いだした。 これにより、LDB2-EGR系の発現調節機構の破綻が精神疾患の発症に関連することが明らかとなった。 同研究は、科学雑誌「EMBO Molecular Medicine」オンライン版(3月3日付)に掲載された。 <用語の解説> ◆統合失調症 代表的な精神疾患の一つで、幻覚や妄想、意欲の低下、感情の平坦化などが主要な症状で社会的機能も低下する。発症には、複数の遺伝的要因と環境要因が複雑に関与していると考えられている。遺伝的要因については、多数の遺伝子において遺伝子多型が報告されているが、個々の遺伝子多型の影響は大きくないといわれている ◆EGRタンパク質 前初期遺伝子群(immediate early genes: IEGs)にコードされる核タンパク質であり、転写因子として機能する。EGR1、EGR2、EGR3、EGR4の4種類が知られている。 ニュースリリース参照 https://www.riken.jp/press/2021/20210303_2/index.html |