2021年03月05日
理研、卵子染色体数 異常原因の1つを解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所 生命機能科学研究センター染色体分配研究チームの北島智也氏らの研究チームは4日、染色体分配装置である「紡錘体」について解析し、卵子がつくられる際の紡錘体の機能および形が動原体と微小管の接続を介して調整されていることを発見したと発表した。

本同研究成果は、卵子の染色体数異常をもたらす原因の一つと考えられている紡錘体の異常を理解することに貢献すると期待できる。

卵子は、卵母細胞が減数分裂することでつくられる。遺伝情報が卵子に正しく伝えられるためには、減数分裂において染色体分配装置である紡錘体が正しく形成される必要がある。

研究チームはこれまでに、卵母細胞の減数分裂における紡錘体形成には、染色体のくびれ部分にある構造(動原体)が重要であることを見いだしていた。動原体は、紡錘体を構成する微小管が染色体を捕捉するための接続点となっている。

今回、研究チームは、哺乳類のモデルとしてマウスを用い、卵母細胞の減数分裂において動原体と微小管の接続を不安定化させる実験を行った。この卵母細胞における紡錘体形成を解析したところ、紡錘体の極に集積するべき「微小管形成中心」の配置が異常となり、紡錘体が過剰に伸びて正しい形をとれないことが明らかとなった。

これらのことから、卵子が正しく染色体を分配するためには、動原体と微小管の接続を介して紡錘体が調整されることが重要であると考えられる。

同研究成果は、科学雑誌「EMBO Reports」オンライン版(3月3日付)に掲載された。


ニュースリリース参照
https://www.riken.jp/press/2021/20210304_1/index.html