2002年03月18日
三菱レイヨン、MMAモノマー価格を内外ともに引き上げ
輸出ではトン100ドル、国内向けはキロ20円アップ
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱レイヨン

 三菱レイヨンは、MMAモノマーの価格を4月の出荷分から内外ともに引き上げることにしてユーザー各社と交渉を開始した。海外のユーザーの中には、いち早く受け入れを表明するところが出始めているという。需給バランスが急速にタイト化しつつあるので、国内の需要家からも比較的早期に同意が得られるのではないかと見られている。
 
 今回三菱レイヨンが打ち出した値上げ額は、輸出価格がトン当たり100ドル、国内ユーザー向けがキログラム当たり20円。ナフサをはじめ、アセトン、メタノール等の諸原料の価格が急騰していることに対する措置。
 輸出価格については、CFR・バージ950ドルへの引き上げを目指す。さらに第2・四半期から第3・四半期にかけても100ドル値上げする考え。トータル1050ドルが当面の目標。
 一方の国内の目標価格に関しては、品種や取り引き数量によって内容にかなりの差があるので一くくりにしての表現はできないとしている。

 MMAモノマーの需要は、2001年初頭以降、透明ABS向けの極端な落ち込みなどが響いてアジア地域全体で長期にわたって不振が続き、これに伴って相場もアジア地域全域で急落してきた。かつてはトン当たり1300ドルであったのが、850ドル前後まで下落、このためMMA各社とも採算悪化に苦しんできた。
 ところが今年の中国の旧正月明け以降は事態が一変、成形材料やシート向けを含めてIT関連を中心に需要がアジア全域で急回復し、同モノマーに対する引き合いがにわかに活発となってきている。一方では、アジア最大の設備能力を持つ同社が昨年12月以降にACH法モノマーの減産を実施してきたのが効いて全体の供給力が縮小、このため需給バランスは急速に改善されつつある。しかも5~8月には同社大竹工場の定修が予定されているので需給は一段とタイト化する見通しにある。今回の価格修正は、こうした環境の変化を捉えてのものだけに、浸透の可能性は高いと見られる。