2021年03月12日
理研、糖尿病網膜症発症に関わるゲノム領域を同定
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所(理研)生命医科学研究センターの堀越桃子チームリーダーをはじめ、琉球大学、東京大などとの共同研究グループは12日、日本人の2型糖尿病患者を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、「糖尿病網膜症」の発症に関わる2つの疾患感受性ゲノム領域を同定したと発表した。

同研究成果は、糖尿病網膜症の新しい予防法や治療薬の開発につながるとみられる。

糖尿病の合併症の一つである糖尿病網膜症の発症には遺伝要因が関与していることは知られているが、どのような遺伝因子が関与するかはよく分かっていなかった。

今回、共同研究グループは、日本人2型糖尿病患者1万1097人のゲノムを用いて一塩基多型(SNP)を網羅的に解析し、別の日本人2型糖尿病患者2,983人のゲノムを用いた検証解析を経て、糖尿病網膜症の疾患感受性に関連する2つのゲノム領域(STT3B、PALM2)を同定した。

この解析は、糖尿病網膜症のGWASとしては世界最大規模となる。また、SNPと疾患との関連を遺伝子単位で解析した結果、EHD3遺伝子と糖尿病網膜症との関連も明らかになった。

同研究は、科学雑誌「Human Molecular Genetics」オンライン版(2月19日付)に掲載された。


<用語の解説>

◆糖尿病網膜症 :
糖尿病の三大合併症(網膜症・腎症・神経障害)の一つであり、糖尿病発症後5~10年を経過する頃から出現する。高血糖が長期にわたり持続することで、眼の奥にある網膜の毛細血管に障害が起こり、進行すると視力に影響を及ぼし失明に至ることもある。緑内障、網膜色素変性症に次ぎ、日本人の失明原因の第3位となっている。


理研ホームページ :
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